●123 球磨川を下る くまがわをくだる 〇つなとくひまもあらばこそ

 表題:球磨川を下る
 読み:くまがわをくだる

 収録:九州日日新聞(S.2).6.4に掲載

 記譜:

 インチピット:

 曲:犬童球渓
 詞:犬童球渓

 ※東京音樂學校時代の作とされる。樂譜は未発見


[詞] ※九州日日新聞コピーより

1.綱解く暇もあらばこそ 鳳凰橋(ほうおうきょう)を門出にて
  一瀉千里の激流は 岩をばうがち山を貫き
  波は岩に砕けて花と散り 音は山にひびきて満雷(ばんらい)吠ゆ
  船はそこを潜(くぐ)りて矢の如く 揖子(かこ)は唄をうたひて自若たり
  仰げば益々山高く 下れば愈々(いよいよ)河深し
  四十八所の激湍(げきたん)も 夢幻(むげん)の如く打ち下り
  止(とど)まるところそれいずこ

2.繊月城(せんげつじょう)を後にして 今ぞ別れと綱解けば
  見送る人の水掬(く)みて 注ぐもここの習慣(ならい)とか
  霧は川をかすめてなお暗く 風は霧を払いて稍(やや)明(あ)かし
  岸は我を送りて山迎へ 山は我を送りて岩迎ふ
  走る左右の両岩(りょうがん)は 晝なお暗く打(うち)茂り
  群がる猿は見えねども 鳴く聲時に身にしみて
  千里の江陵(こうりょう)只一日(ひとひ)


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