■「樂歌集」(第一集)の読み下し(試行) B1-1
                       梅澤作製(2023年夏)

 自身で優れていると思われるものをまとめ(はじめた)ものと推察。
 第1集とあるが第2集はない。
 大正元年との表記は、その年に始めたの意味。後の作も含まれる。
 和歌中心だが多くは曲に付けたもの(タイトル行に※でメモ)
 〇印と数字が付加されているが、意味は不明(選別、付曲のマーク?)。
 難読のためとりあえず読めた分のみ。未読や間違いが多数……(容赦)。



大正元年

 樂歌集(第一集)

1. 美はしの四季(1)  ※曲あり「四季」(8首中4首あり)
一 山辺も野へも霞みわたり 春風かろく袖に薫る
   仰ぐ空には雲雀うたひ 笑める花には胡蝶をどる
   美はし美はし春のながめ 美はし美はし春のながめ
二 青葉をわたる風のひびき 門辺をめくる水の志らべ
   自然(おのづか)らなる樂(がく)を奏で 神の秘事(ひめごと)われに語る
   美はし美はし夏のながめ 美はし美はし夏のながめ
三 草葉の末にやどる露を 眞玉と見する月の光り
   人の心にかかる雲も はれよとばかり汝(な)れは照るか
   美はし美はし秋のながめ 美はし美はし秋のながめ
四 一夜の程に山も岡も 時じく花に埋れはてて
   見ゆる限りは一つ色の 神のみわざの樂土なれや
   美はし美はし冬のながめ 美はし美はし冬のながめ
  (注:時じく=季節外れ)


2. 鶯(2)  ※曲あり
  (聲たえず鳴けや鶯ひととせに ふたたびとだに来べき春かは
   東風ふかば匂い記せよ梅の花 主人なしとて春な忘れそ)
一 深山の古巣をとくとく出でて ほゝゑみそめたる軒端の梅に
   声もほがらにうたふ鶯 来る春忘れぬさやしの鳥よ
二 幸福(さち)ある此世の一年(ひととせ)なれど 再來(きた)らん春こそなけれ
   梅の花びら散らさぬ程に 其声絶えせ須うたへやうたへ
  (注:さやし(曲では優し)=清く澄む 須=ず)


3. 歳暮(3)  ※曲あり「四季」
一 あはれことしも夢と暮し 惜しむ日数と早やもなりぬ
二 過ぎし一年(ひととせ)かへり見れば 成しゝ事ごとあともなくて
三 朽ちし軒ばに嵐すさび 老の頭に雪ぞつもる


4. 幼児(4)  ※曲あり「四季」
一 眠れるをさなご何を夢みる ほほゑむ其顔其口もと
   現世(このよ)に降れる御神の使ひか 愛らし此なる幼児
二 笑へる幼子何をよろこぶ 涼しき其こゑそのふるまひ
   眞玉の眼に映るは希望(のぞみ)か 愛らし是れなる幼児
  (注:幼児=をさなご)


5. 友を送る(知友の熊本を去るを送りて)(5)  ※曲あり「四季」
一 君と別つ露の袂(たもと) またも握(と)らん時はいつぞ
   めでん花に冴えん月に 思ひ出でよ西の空を(または南の空)
二 名残惜しむ今日し見れば 露をやどす眼にもしるく
   阿蘇の烟北に曳きて 君か行かん方ぞ慕ふ
  (空行く雲東さして)
  (注:「四季」と一部異なる しるく=著しく=際立つの意味か?)


6. 送別(6)   ※曲あり「離別の曲」
一 来し方の睦ましき其交はりは 行末も変らしの吾等が誓ひ
   よしや身は風に散る花びらのこと 西東たよりなく立ち別るとも
二 海山をへだつとも通ふは思ひ 年月を過すとも移ろふものか
   嗚呼時よああ月よ吾等かつかひ 嗚呼雲よああ風よ思ひを運べ
  (注:たよりなく=具?)


7. 忍が岡の名残(7)  
 (1.学びやへ 2.教師へ 3.友へ 4.上野の森へ)(音楽学校を去る時)
一 あした夕べに通ふ吾れを 絶えず嬉しき笑みを含み
   送り迎へし校門(かど)の梢 今日を限りと顧みれば
   曇る眼は涙なれや
二 あはれ怜悧(さが)なき己が身にも 長き月日を厚き恵
   あだに過志ゝ深き罪を 赦しまさぬか教へのきみ
   わぶる心も深きものを
三 〓既に船路に別れ別れ 栄代遥かにへたづとても
   長き年月心おかず 睦びなれにし遠き昔
   思ひ出でては変ぬものか
四 思ひ隔つや森の彼方 霞こめてはかけもおぼろ
   惜しき名残を忍ぶ岡の 紅葉さくらを夢に浮へ
   ひとりさびしき心やらん
  (注:忍ヶ岡とは上野の森のこと 過志ゝ=すごしし)
  (注:鉛筆で細かい書き込みがあるが読めず)

8. 菊
  霊幸ふ神のみわざの〓もとを
   とり集めたる菊の花園
  露になやむ籬の菊もおく霜に
   ……人の心とも哉
  (注:霊幸ふ=たまじわふ=霊力をふるって加護する 籬=まがき)


9. 千原翁の六十の賀を
  手にとれば老も忘れて盃に
   君が〓とくみて歌はん
  君は今六十路の坂を登り来て
   千原の春を迎へける哉


10. 友情 He wipes the tear from every-eye.(8)  ※曲あり
一 父母兄弟たよらん人なき 孤独の悲しみ今はや幾年
   涙にくもらぬ日もなき此身を 慰さめ励ま須我友うれしや
二 苦しみなやみに思ひは乱れて 希望の燈火かげだに歪め得ず
   涙にくもらぬ夜もなき此身を 慰さめ励ま須我友嬉しや


11. 新年(9)  ※曲あり「四季」
一 去年をば隔つる一夜の程に 明けゆく朝はものみなあらた
   初日の光りは曇りもあらで 四海のはてまて普(あまね)くてら須
二 数増す同胞栄ゆく御国 日本の威名は益高し
   さはあれ此世は浪風荒く 迎年々事益からん
三 み空を仰げば瑞雲なびき 見渡す山河も霊氣にみちぬ
   兄弟同胞(はらから)老いたる若き 清新(あらた)の希望を心に秘めよ
  (注:普く=あまねく 栄=さか 益=ますます 益=しげ)
  (注:2番第2節「さはあれ……」は原文を修正している)


12. 尽きせぬ名残(10)   ※曲あり?
一 蛍に雪に心をこめし 学ひの窓を顧みすれば
   川辺の柳手をさしのべて 別るる友を招くか汝れも
二 紅葉に花に学ひの友と 睦ひし庭のあとみかへれば
   露おく桜涙にぬれて 尽きせぬ名残惜しむか汝れも


13. 菫を鉢植せるを見て  
  摘み捨つる 人すらあるをつぼすみれ
   移し植ゑたる心なつかし


14. 日向なる友の新婚を祝て  
  日向(ひむか)にも雪は降るべし然はあれど
   君のみ庭の冬やなからん
  (注:然=しかはあれど(そうではあるけれど))


15. 山崎翁の紅葉を見て  
  居ながらに錦のきぬを身につけて
   この世楽しく君送りませ
  立田姫残りてそめたるもみち葉の
   錦をさら須君が庭哉


16. 名残松
  一本と見ゆる高ねの夫婦松
   永久に変わらぬ歌を奏でし
  大空に樂を奏でし行く人も
   立ち滞ふる歌……の松


17. 雪中梅  
  降る雪も共に薫りて此朝け
   梅咲く庵は寒けくとなし
  降り積る雪にも色香埋りて
   此世をよそに笑めり梅哉


18. 初氷  
  けさ見れば庭の枯れ草霜さえて
   落葉ながらに氷る水船
  (注:水船=水槽か)


19. 落葉  
  朝な夕な箒とる手もたゆきまで
   落葉散りしく冬の庭哉
  (注:たゆし=だるい)


20. 寒夜述懐  
  厚ふすまおほはぬ此身も父母の
   汝れにしあれは寒けくもなし
  (注:ふすま=衾)


21. 歳暮  
  夜昼に往来の人の足志げく
   心せかるゝ年の暮哉
  (注:末尾を修正している)


22. 眼鏡
  見え分かぬ 細き文字にも親しみて
   老いなくさむる 眼かね尊とし
  世の人のよし悪し事も見分くへき
   眼かねも〓と思ひても見つ
  徒らにうはへかさりて心まて
   見ゆるめがねもある世なりけり
  暗の夜を照らさんめがね作り……
   よき名ひゞか須人はあらぬか


23. 大正二年二月二十三日愛姪リウの死去を悼みて
  春残み〓も待たす吹く風に
   散りゆく花を見れは悲しも
  (注:待ちて?)


24. 大正二年卒業生のために  
  心せよ高ねの花は手折るとも
   つまづく坂の多き山路を
  (注:末尾部分修正)


25. 坪田健平?


26. 学校記念日唱
一 今日こそ吾等が喜び集ふ 学びの庭の開けし吉き日
  (男)「御言の〓にいたしみ励み み國の為めに尽さん友よ」
   今日こそ日出度我学びやの 記念の吉き日 祝へや祝へや
二 今日こそ吾等が学びのわざを いたしむ窓の開けし吉きひ
  (女)「教への〓に智徳を研き いと善き人とならなん友よ」
   今日こそ楽しき我学びやの 記念の吉き日 祝へや祝へや
  (注:日出度=めでたし いたしむ=効しむ)


27. 秋の野山(11) ※曲あり
一 袖に軽き風うけて 花さく野路を分け行けば
   尾花は招き百舌鳥歌ふ 野山の秋は心地よや
二 色づく柿に笑める栗 芙金?を洒す秋の山
   初茸しめぢとりどり誇る 野山の秋は面白や
  (注:芙金?晒す?)


28. 亡き母の墓に刻める歌  
  母上よ燈火(ともし)はいかに 杖は如何に
   心楽しき旅とは思へど


29. 鐘紡会社熊本支店工場歌 (未読)※自筆楽譜あり
一 人の此世に生まれしは


30. 青島陥落 (未読)


31. 菊池実科高女校歌 (未読)
一 乱れし御代に身を捨てゝ 君に心をつくし〓
  菊池の川の千代かけて 流れを酌まぬ人もなし
二 ……霞にとざされて 心てりそふさくら花
  のどけき心…… 持てよと吾に教ふ也


32. 松合小学校運動部 (未読)
一 霞たなびく春来れば ……咲き乱れ
   梢にあそぶ百鳥も 幸福(さち)ある御代を祝ふ也
二 緑色濃き木陰 
   
三 名にほほ岳に登り来て 南の方を見渡せば
   手にとる如き田に畑に 秋の実りぞ
四 肌つんざく北風も 


33. 松合小学校校歌  
一 励勉業務(わざ)に当たりなば 遂げ得ぬ事はなかるべく
   常に規律を守りなば 心身正しくなりぬべし
二 吾れをなやます敵あらば 勇気の矛をふりかざし
   吾れに苛酷(つれな)き人あらば 徳親切を報ゆべし
三 斯かる訓へを誠實に 心に懸けて窮行し
   忠孝信義の善き人と なるべき事を努むべし
  (注:斯=かく 窮行=躬行(きゅうこう)=有言実行の意味-多分文字間違い)


34. 記念式(12)
一 智徳をみがく学びやを 開?きそめたるをりぞ也
   けふこの庭にうちつどひ 栄えを祝ふ楽しさよ
二 開け行く世に後れじと 女の道を進むべき
   日毎に集ふ学びやの 御代の栄えを祝はまし


35. 亡友を憶ふ(13)  ※曲あり
一 思へば儚き人の運命(さだめ)や 互ひに励まし名をば揚げんと
   堅くも盟いし其君は何処ぞ 哀れ哀れ亡き友哀れ我友
二 思へば淋しき己が此身や 又無き其友我れを遺して
   何とでか逝きたるなどてか帰らぬ 哀れ哀れ亡き友哀れ我友
  (注:儚=はかな)


36. 日本国民の歌 (未読)
一 皇統


37. 長き春 ? (×で消してある)
  (→39に変更)


38. 初秋風(14)  ※曲あり
一 軒ばの鈴に秋の音ひびき すだくこほろぎ草葉に喧し
   そよぐ秋風涼し涼しや
二 垣の朝がほ秋の色そへて 梢の蝉?も稀にぞなりたる
   そよぐ秋風涼し涼しや
   (※すだく=群がる 喧=かまびす)


39. 春の幸福(15)   ※曲あり「のどけき春」
一 烟る柳緑を垂れて 薫る風にかろくなびく
   山に里に花はみちて のとかなりや春のけしき
二 胡蝶低く花にをどり ひばり高く空にうたふ
   霞深く野辺にみちて しつかなりや春のけしき
三 笑める花もうたふ鳥も 御代を祝ふ歌そ色ぞ
   春よ吾れと共にうたへ 空にあまるはるの幸福を


40. 春夜の興(16)  
一 月に薫る梢の花に 花にくもるみそらの月に
   楽しむ人の多かる頃も 更けであふなん宵の一刻
二 桃の下の宴の庭も 梅かさし道行く人も
   燈火とれとれ春や惜しめる 更けであふなん宵の一刻
   (※蘇東坡の「春夜」、李白の「春夜宴桃李園序」を踏まえて)


41. 谷間の梅(17)  ※曲あり「四季」
一 月日を数へぬ山の里も 思へば嬉しや君か御代の
   遍ねき光りに春は立ちて 谷間の氷もいまはとけぬ
   あれ見よ霞のこむるあたり 眞白に見ゆるは残る雪か
二 谷間に囀づる鳥の声は 閉せるかすみも包みあへず
   もれくるかをりは色もなくて つゝめるかすみのへだつへしや
   あれ見よ遥けき谷の遠に ほゝゑみ立ちたる梅の姿


42. 逝く春(18)  
一 夕日山にうすづき 鐘の音もひびきて
   霞む空もおぼろに けふもひとひ暮しぬ
   塒もとめ飛ぶ鳥 家路さして行く人 急ぐ様もなくして
二 胸に浮ぶ想ひ 遠く去(い)せてつきせず
   暮るる春を惜しみて ひとり門にたゝずむ
   心あらぬ嵐に 雪と積る花びら 箒かん術もなくして
  (注:うすづく=日が沈むさま)


43. 立田姫(19)  ※曲あり
一 嵐にきほひて夜毎にそそぐ 時雨に色ます奥山端山
   み山をしらせる立田の姫の 尊とき御手もて染めや歌へる
二 み空をつつめる其朝ぎりに 錦を洒?せる奥山は山
   み山をしらせる立田の姫の 尊とき御手もて繞りや給へる
  (注:きほふ=きおう 競うありさま 繞る=めぐる=纏うの意味か)


44. 卒業の友を送る(20)  ※曲あり
一 雪の旦も風の夜も 勉め励みて今や茲に
   いとも光栄(はえ)ある綾錦 飾る其君祝へ祝へ
二 長き月日を此庭に 睦ひなれにし友よ友よ
   よしや千里をへだつとも 心ばかりは変らざらん
三 花のあしたに月の夜に 心しづけし折もあらば
   春よこなたをかへり見て 思ひ遥に運ひ給へ
  (注:茲=ここ)


45. 夕暮(21)  ※曲あり
一 塒(ねぐら)を求めて乞い行くとりの 行くへはいづくと打ち見る彼方
   山の端まばゆくこがねの色を 染めつゝかゞやく夕日の光り
二 夕へを伝ふるかねの音遠く ひゞくをきくまに日はくれかゝる
   一日の業をもなしはてなくに かくしてこの身も老ゆるか我れは


46. 田舎の春(22)  ※「春の山邊」の歌詞に類似
一 かげろふのぼれる春の畑の 麦生の中なる小草とると
   下りたつ乙女の歌も聞ゆ 田舎の春はのどかのどか
二 緑の若草あさる小牛 我家の小犬とつとになれて
   行くへも定めず走りさわぐ 田舎の春はしづかしづか
  (注:麦生=むぎふ=麦の生えているところ)


47. 桜(23)  ※曲あり
一 霞にとざせるみ山の奥に 浮世をよそにと咲きたる桜
   妙なる其色け高き心 是れこそ誠の大和の花よ
二 そよふく嵐に跡なく散りて 日本の男子もかくこそあれと
   心も残さぬみ山のさくら 是れこそ誠の大和の花よ
  (注:残にルビ風の小字がある?)


48. 豊年(24)  ※曲あり
一 豊にみのれる黄金の海に 秋風そよぎて稲穂そさわぐ
   百舌鳥うたひすゞめはをどる 楽しきとしの此みのり
   歌へ歌へ 楽しき今年の此みのり
二 向ひの里の鎮守の杜に 旗かけなびきて太鼓も聞ゆ
   かけゆくわらべよろこぶ老翁(おきな) 嬉しき今年の此みのり
   祝へ祝へ 嬉しき今年の此みのり


49. 秋の夜(月夜)(25)  ※曲あり(月の夜)
一 月かげさやけきこよひの庭に へだてぬ友とち打談すへば
   心も楽しくかの月かげに かよひて隈なく燈こそまされ
二 竹……調べも妙に 垣根の草葉に歌ふを聞けば
   心も楽しくかの月かげに かよひて隈なく冴えこそまされ


50. 雪雀(26)  ※曲あり
一 雲居るみそらに飛び行く雲雀 妙なる聲もて歌ふは何ぞ
   現世の人びとかくこそあれと 歌ふ様なる希望(のぞみ)の歌か
二 雲居の空より落ち来るひばり 御神の使ひか天女の稚児(ちご)か
   現世(このよ)の乱れを暫時(しばし)は忍び 天(あめ)なる不思議を語れや吾れに


51. 故郷の廃家(27) ※曲あり
  ※表題のみで歌詞は空欄


52. 旅愁(28) ※曲あり
  ※表題のみで歌詞は空欄


53. 雪(こがらし)の夜(29)  
一 荒びし嵐のあともたえて あたりも静に夜は更けぬ
   春まつ乙女等ゐろりかこみ 笑いに花咲く窓の外に
   音なふこゑなく雪そつもる
二 夜寒を厭はず吾れを訪ひし 親しき友どち爐辺にみゆれば
   楽しき苦しき昔今の語りは 夜すがらつきず絶えず
   更けゆく庭の面み雪深し


54. 夏(30)  ※曲あり  
一 見渡す山々みどりになりて そよふく風さへ夏とぞひゞく
二 過ぎたる夕立あとなくはれて 城戸行く水さへ夏とぞ語る
三 あれ聞け山辺に里辺にのべに 飛びかふ鳥さへ夏とぞうたふ
四 あれ見よ垣根に軒げに池に 咲きたる花さへ夏とぞ笑める
  (注:城戸=城門で「きど」と読む、おそらく文字の間違い)


55. 諒暗中の新年を迎へて
  雨さそふうれひの……


56. 四季の鳥(31)  ※曲あり  
一 霞の奥より春は立ちて 野辺にも里にも花は咲きぬ
   みやまの鶯いましもうたへや みそらのひばりよ汝(なんじ)も囀(さへつ)れ
二 皇國(みくに)の夏をば遠く慕ひ いづこの里より汝れは来しか
   みどりの木かげに囁けや郭公 涼しきみそらに舞うや燕子(つばくらめ)
三 涼しき朝ぎり空をとざし 玉如(な)す夜露は月ぞ宿す
   越路のたよりを告げよや初かり 豊けきみのりを喜べ百舌鳥
四 木がらし寒けく森に荒び 木の葉は跡なく散りて落ちぬ
   とまれる烏(からす)よ淋しくあらぬか 群れ居る雀よ塒は如何にぞ
  (注:かなりの改訂・加筆あり、三は蘇武伝&紀友則、四は芭蕉を踏まえて)


57. 神のみもとに(主よ近づかん)(32)  
 (※タイタニック号沈没の時の奏楽)
一 永久(とは)にひびく楽の音 浮きを知りぬ其聖(さと)境
   君を慕ひ吾れは行かな 天つ神のみもとに
二 薫る花や鳴く鳥 永久(とは)に絶ゆる時なき
   君がゐます玉の樓(うてな) 吾れは慕ひ行かなん
  (注:樓=高い殿)


58. 大典奉祝歌 (未読)
一 ……たぐひなき ……本の一系の
   至高(たか)き皇位(くらゐ)に即き給ふ ……君を祝はまし
二 海の内外も隔てなき 君が恵の浪越えて
   …… めでたきけふを祝はまし


59. 下益城郡守富村村歌 (未読)
一 肥後の直中に住居占むる 下の益城の……
   田園
二 人口凡六千餘 


60. 供合尋常高等小学校校歌
一 烟は高きあその峯 流れはつきぬ白川の
   山と水とを歌神にて 友よ知徳を磨かなん
二 〓天智の六代に 勅かしこみて……
   ……いとなみて 君か知らし……
三 心と共に〓すてふ 村の名……供合の
   ……高くひびかせて 


61. 入営兵士を送る歌
一 日本男子(やまとおのこ)の数多き 人の中より選ばれて
  君の〓楯と徴(め)されたる 光栄(はえ)ある君を祝はまし
二 民は挙りてつはものの 雄心(をこころ)堅きそがなかに
  国の護りと勇ましく 出立つ君を祝はまし
  (※矛盾? 読みは?)


62. 帰郷兵士を迎ふる歌  
一 国の護りと選ばれて 召し出されし君を今
   送りし道(場)に打ち列び 迎ふるけふのうれしさよ
二 日本男子(やまとおのこ)の名誉(ほまれ)ある 民勢(つとめ)事なくなし終へて
   錦をかざる其君と 迎うるけふのめでたさよ
  (注:場=にわ)


63. さらば故郷(Good-bye. Old home)  ※曲あり「四季」
一 彼の山此の岡名残つきぬながめぞ あの川其池想い深きながめぞ
   ――――― さらばさらばふるさと
   いつかは汝しと又も茲にあひ見ん
   桜よ紅葉よ色香は変へせず ときには匂へや さらばさらばふるさと
二 彼の宮此橋心あるか汝も あの野辺此森別れ知るか汝も
   露にぬるる其かげ さらばさらばふるさと
   いつかは汝しと又も茲にあひ見ん
   百鳥鳴く虫しらべ忘れず ときには歌へや さらばさらばふるさと
  (※――――-は鉛筆修正あり、「四季」と一部異なる)


64. 菊池郡菊池校校歌 (未読)
一 古き歴史は…… 絶えず忠義の……
   代々にかをりを伝へたる 流れを酌めよ菊池川
二 耕やす鍬は刈る鎌に 込むる力も……
   米に名を…… 名をあげよ菊の城
三 …… 教へ守りて後の世も
   人のかがみと見らるべく 其名〓


65. 祝へ歌へ (未読)
一 祝へ
二 


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